2022/11/28 17:53
陶土を練ります。
作業工程で一番力のいる作業です。
最初は荒練り、続いて菊練りをします。
この作業をしっかりやらないと作品の中に空気が残り、焼成中に割れや破裂の原因になるんです。
写真は菊練りの終わったものです。
土の重量が2キロ未満と少ないので、菊のヒラヒラの数も少なめですね。
菊練りの終わった陶土を円錐状にまとめます。
ここでは、玉挽きをしてみます。
玉挽きとは作品を1点ずつ、ろくろに据えて作業をする事です。
玉挽きに対して、大量の作品を一度にひく方法を数挽きとか棒挽きといいます。
ここでは、何点かの同量の玉を作ります。
ろくろに1個の土を乗せて、円錐状に据えます。
この後、「土ころし」という作業をします。
ろくろをまわしながら、土を上下に上げ下げするんです。
この土ころしによって、作品の中の空気を抜き、作品をろくろの中心に置けるのです。
いきなり完成してしまいました。
途中は手が泥だらけですので、
カメラのシャッターを押せなかったです・・・・・。
仕上げに口縁部をなめし皮で整えてから、「しっぴき」と呼ばれる切糸で、ろくろから切り離します。
素焼きを待つ作品たちです。
季節にもよりますが、大体1~2週間かけて、ゆっくりと乾燥させます。
化粧の終わった作品です。
化粧土を掛ける際は、半渇きの状態で生掛けします。
刷毛や霧吹きで模様を付けたり、「粉引き」の場合はひしゃく等で流し掛けします。
失敗したら終わりなので、集中力がいるんです。
●高台部の削りをざっとご紹介します。
ろくろの盤面から切り離した糸切りの跡が見られます。
高台の大きさを決めたら、木べらで余計な部分を落とします。
おおよその高台が出てきました。
高台下の部分を削ります。
高台の内部を削ります。
完成しました。
素焼前の窯詰めの様子です。
素焼作品はくっつかないので、重ねて焼く事ができるんです。
この場合は2回分の本焼量を素焼きしました。
本焼は1250度から1280度位まで温度を上げますが、素焼きは800度前後で火を止めます。
素焼きが終わった後の状態です。
上の写真と比べて、作品の色が変わっているのが、わかると思います。
窯出し後、軽くやすり掛けをしてから、手ぬぐいでホコリを拭き取ります。
その後、釉掛け作業に入ります。
焼き締めではない釉薬ものは、作品の外観を決める仕事なので、集中する所です。
施釉後に再度の窯詰めへと移ります。
本焼前の窯詰めの途中です。
写真の色は灰色ですが、本焼後は緑色に発色します。
作品の下側に道具土や貝殻で目土をしているのがおわかりでしょうか。
これは釉薬が流れた際、棚板と作品のくっつきを防止したり、高台部に緋色を出すための技法なんです。
すでに本焼中の様子です。
写真は本焼時の窯の内部の状態をさぐるため、ライターの炎を近づけて、火の倒れ方を見ているところです。
炎がやや右側に倒れていますが、これは窯の中がやや中性気味で焼かれている様子です。
酸化の場合は炎が窯の内部に吸い込まれ、還元の場合は逆に窯の中から炎が噴き出してきます。
焼成中の窯の内部を色味穴から見たところです。
この後、1250度まで引っ張ってから、窯内上下の温度を均一に保つため、1時間程度その温度をキープします。(これを「ねらし」と言います。)
ねらし後に焼成終了となりますが、今回は本焼開始から約20時間かかりました。
焼成終了後、中1日かけて窯を冷ましてから、ゆっくりと窯の内部に外気を入れていきます。
外気が入ると「チリン、チリン」と作品に貫入の入る音がして、心地いいんです。
写真は本焼後の高台部の様子です。
釉薬が流れたり、緋色が出たりしています。
窯から出した作品の一部です。
この場合は織部の作品なので、釉薬の表面に酸化膜という膜がはっています。
この膜を取り除くときれいな緑色が現れます。
その後、流れた釉薬を削ったり、高台部を整えたりの仕事を経て、完成となります。