2022/11/29 16:00

2008年6月16日(月) 

やきものを分けてみっぺい。ぱぁと2。

 

前略 行雲です。

 

梅雨真っ盛りだというのに関東は暑さ全開です。

ただ、カラッとした暑さなので過ごしやすいですね。

このまま梅雨が終ってほしいです。

 

 

さて、今回も仙人のご登場です。

前回の続きを紹介してもらいましょう。

 

それでは仙人、お願いします。

 

 

・・・・・・

 

 

またまた仙人の登場じゃ。

 

前回の続きを話すからな。よ~く聞いておくんじゃぞ。

ん~と。どこまで話したかのぉ。

 

おっ、そうじゃそうじゃ。備前までじゃったな。

 

 

よしゃ、次は滋賀県の信楽焼(シガラキヤキ)じゃ。

信楽は無釉の焼締め陶じゃな。

木ノ瀬土という焼締めの土を使って、薪窯で1300度近い高温で焼き上げるんじゃ。

すると薪の炎と反応して、土が緋色に輝く。

おまけに土に含まれる長石粒が溶け出して、表面に白いぶつぶつが咲くんじゃ。

緋色の中に白い花が咲くような雰囲気じゃな。

火前に置いた作品はたっぷりと灰が被り、それはそれはお見事な作品が生まれるのぉ。

 

信楽の緋色は電気やガス窯で出すのは無理じゃのぉ。

やっぱり薪で焚かんとな。

木ノ瀬は比較的いい土が手に入るから、産地以外で信楽を焼いている作家も多いの。

焼締めだと備前よりも取っ組みやすいやきものだと言えるじゃろうなぁ。

 

 

お次は信楽の隣の伊賀焼じゃ。

伊賀も焼締め陶じゃな。

特長は白っぽい土に薪の緋色と黒い焦げ、

灰がたっぷりと被って溶け出すいわゆるビードロと言われるものがあると

価値が高いのぉ。

茶道具の花生けなんかに名品が残されているな。

これまた焼締めの代表選手で、

穴窯で信楽と伊賀を焼いてるっていう作家もたくさんいるなぁ。

 

まぁ、読者の方で焼締め一番て方は

この信楽と伊賀に挑戦してみるのもいいかも知れんぞ。

仙人からもお勧めじゃ。

 

 

おっと忘れてはいけないのが京都のやきものじゃ。

京焼なんて言われているの。

乾山に代表されるように絵付けを中心としたやきものが多いのぉ。

 

絵付けと言えば、色絵磁器なんかもあるからのぉ。

戻ってしまうが、九州の伊万里、有田焼なんかも忘れてはいかんぞ。

これらは磁器じゃから、土ものとは若干雰囲気が違うが、

鍋嶋や柿右衛門の赤絵なんかは最高じゃからなぁ。

 

ちなみに、土ものの絵付けなら白化粧で鉄絵の銅彩なんかはうっとりするのぉ。

見てるだけで温かい気持ちになるからのぉ。

 

もし、伝統的な絵付けをやりたいんじゃったら、

こういったやきものを勉強しておくと良いな。

 

 

 

おっと、話を京都に戻そうかの。

京都といえば、楽焼を忘れてはいかんのぉ。

茶人千利休の依頼をうけた初代長次郎が、手づくねで作ったという楽焼じゃ。

一椀一椀を手づくねで成型して、焼成も炭窯で一椀づつ焼くという

非常に手の込んだ技法じゃ。

 

茶道具の茶碗に数多くの名品が残されているのぉ。

京都以外でも全国の作家がこの楽焼に挑戦しているからの。

目の前の炎の中に鉄ばさみで茶碗を入れる作業なんかは最高じゃぞ。

真っ赤になった茶碗を取り出して水に入れる瞬間なんかは、

やったことのある人間にしかわからない醍醐味があるからのぉ。

 

作家意欲を駆り立てるやきものと言えるじゃろうな。

 

 

さて、今回はここまでじゃ。

続きはまた次回のお楽しみじゃ。

忘れてはいかんやきものがあるからのぉ。

 

じゃ、また会おうぞ。

 

行雲仙人。

 

 

 

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2008年6月8日(日) 

やきものを分けてみっぺい。

 

 

前略 行雲です。

 

 

今回のテーマはやきものの種類です。

一口にやきものと言ってもいろいろな種類があるので、

それを知るのはやきもの好きにとって大事な事です。

 

作る側としても自分はどんなやきものを焼きたいのかが解らないと、

いいものはできっこないです。

 

弟子入りしているみなさんも、一般の陶芸愛好家の方々も、

やきものの種類を覚えて、自分の目指す「~焼」を明確にしましょう。

 

 

 

さあ、それではこの辺の所を行雲仙人に解説してもらいましょう。

 

それでは仙人、お願いします。

 

 

・・・・・・

 

 

ワシが行雲仙人じゃ。

今後いろいろな所で登場するから、しっかりと名前を覚えておくんじゃぞ。

 

さて、今日はやきものの種類を教えよう。

やきものってのは何百年、何千年もの歴史を重ねて現在に至ってるんじゃ。

このやきものはどんなものがあるのかを知らないと、作り手としては致命的じゃな。

また、買う側としても面白くない。

 

じゃから、しっかりと聞いて覚えるんじゃぞ。

おっと、そうじゃ。

ワシも年でな。

記憶力が年々低下しとるから、多少の言葉の違いは勘弁してくれるかのぉ。

 

ワシの言っとる事を踏み台にして、

あとは自分でネットなり本なりで知識を深めるんじゃぞ。

 

 

 

じゃ、まずは南からいってみるかのぉ。

 

トップは沖縄の壺屋焼じゃ。

上焼(ジョーヤチ)、荒焼(アラヤチ)といった種類があって、

上焼は簡単に言うと釉薬ものじゃな。

そして、荒焼は釉薬を掛けない焼締めの事じゃ。

 

釉薬ものは緑、茶、青系統の釉薬を使って、作品を展開する事が多いの。

おみやげのシーサーなんかもそうじゃ。

形もキチっとしたものより、おおらかでどっしりとしたものが多いのぉ。

暑い国じゃから涼しげで、ざっくぱらんとしたやきものが特長じゃな。

 

関東で壺屋焼をやるのは土の運送コストの関係上、難しいかのぉ。

やってやれない事はないが、

壺屋焼の流れを汲んだ独自のやきものを作ったほうが良いな。

 

 

 

続いて、九州は佐賀県の唐津焼じゃ。

ウチの窯でも良く焼くやきものじゃな。

釉薬もので無い種類は無いってくらい、いろんなやきものがあるんじゃ。

代表的なのは黒釉と白釉を掛け分けた朝鮮唐津。


ワラ灰のまだら加減を味わう斑唐津。

素朴な絵付けで展開する絵唐津なんかが有名じゃの。

 

唐津のざっくりとした土味にワラ灰や黒釉はぴったりじゃの。

ある意味、派手さが無い地味なやきものなので、

素人さんにはパッとした印象が無いんじゃな。

 

やきものを見て買って何年もすると、唐津の良さがだんだん解ってくるんじゃ。

言ってみれば、玄人好みのやきものと言えるなぁ。

 

 

 

次は山口県は萩の萩焼じゃ。

地元の大道土と見島土を主体に陶土を作り、

大道土の白土を化粧掛けして御本を出すんじゃ。

温かみのあるいいやきものじゃな。

 

また、白釉をたっぷりと掛けて土の緋色と対比させるものもあるのぉ。

これは豪快そのもの。人間国宝の人もよく焼く焼き方じゃな。

茶道具に名品がおおくてのぉ、

1萩2楽3唐津(1楽2萩~の場合もあり)なんてことわざもあるくらいじゃ。

 

 

さて、お次は岡山県の備前焼じゃ。

無釉の焼締め陶で、備前の名前はよく聞くって人も多いじゃろ。

 

登り窯で赤松の薪を使って何昼夜も焚き続ける。

窯変(ヨウヘン)やボタもち、ゴマなどの独特な言葉も生んでおるのぉ。

 

緋襷(ヒダスキ)なんかも備前のやきものじゃな。

ワラを巻いてサヤに入れ、灰がかからないように焼くんじゃ。

緋襷だけは電気窯やガス窯で焼くって作家も多いの。

 

焼締めは土が命じゃから、緋襷以外の備前をやるんじゃったら、

現地で窯を築かないとダメじゃな。

よその土地にいたって、いい備前土は手に入らんぞ。

現地で自分の手で掘るこったな。

それこそが、焼締めの原点じゃからなぁ。

 

 

さてお次は・・・。

おっと、そろそろ時間が来たようじゃ。

 

この次の話は、また次回のお楽しみじゃ。

まだまだ、たくさんのやきものがあるでな。

 

それじゃぁな。

 

行雲仙人

 

 

 

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2008年6月1日(日)

 縁は異なもの味なもの。

 

表題からいきなり学生時代の国語で習ったような気がするワードで登場です。

今回の写真はこれ。

そう「縁台」です。

 

これからの季節にぴったり。

俳句はやりませんが、季語に使えそうな響きです。

 

夏の夕涼みに縁台に腰掛けて、スイカを食べながら花火を見る。

いいですね~。

 

熊谷は毎年8月に大きな花火大会をやるので、その頃に大活躍しそうです。

と言っても、この場所から花火は見えないのですが。

 
 

さて、この縁台。夕涼み以外にもいろいろ使えそうです。

例えば、木工時の作業台。

のこぎりで切ったり、金槌で叩いたりする時には

丈夫な作業代が必要ですが、縁台なら大丈夫。

何たって人間を何人も座らせることができるんですから、強度はあります。

 

またこの縁台の天板のすき間もGOO~。

この間に、のこぎりの刃が入るようにして切っていけば直線もばっちりです。

 

やきものの釉掛けにもOK.

差し板にのせた作品を置いて、横に釉バケツ。

この位の長さがあれば、釉掛けした後も横に置けます。

 

おまけにとどめは青空作陶。

縁台に腰掛けながら、手廻しロクロで手びねり。

あるいはヒモ作りで大物を製作。

 

いや~、いろいろ想像が働きます。

 

アッそうだ。

くれぐれも蚊取線香は忘れずに。

 

 

 

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2008年5月25日(日) 

携帯画像→パソコンってどうやるの。 

 

普通のデジカメでこのブログ写真を撮っているのですが、

デジカメの無い時はどうすればいいか。

ちょっと散歩中だとか、アレって時に撮影したい瞬間てありますよね。

 

そんな時こそ、携帯電話の出番ですね。

最近の携帯は200万画素なんて当たり前。

150万画素あれば、WEB上の画像は問題ないって話ですから、

この携帯の機能を利用しない手はありません。

 

がしか~し。

携帯カメラで撮った画像をどうやってパソコンに取り込むのか。

これがわからなかったんです。

 

小さい画像なら写メールでパソコンに送ってしまえばよいのですが、

1200ピクセルサイズの画像はメールでは送れないし。

 

携帯電話アドレス編集ソフトなんかを買うと、

画像も取り込める機能が付いているみたいなんですが、

アドレス編集は要らないし。

 

そこで、この写真の機械をゲットです。

なんと499円という激安品で、大丈夫かいなっていう安さですが、これが使える。

 

携帯で撮ったSDカードをこの機械に差し込んで、

パソコンのUSBに差せばあら不思議。

 

DドライブやらEドライブやら、4つのドライブが現れるという

怪しげな機械なんです。

 

そんなドライブを順番に1つづつクリックしていくと、

いつぞや携帯画像が登場。

おまえ、そこに隠れてたのか~って感じです。

 

単純にメイン基盤に差し込み口が半田付けされているだけなので、

中を制御するOSソフトが組み込まれていないって事でしょう。

だもんで、SDカードがどのドライブにあるのか認識できないのかな~

なんて推測しております。

 

激安品ですから、無駄な組み込みソフトは要りません。

手作業で1つづつクリックすればいいんです。

 

なんでもSDカードやらMINIやらメモリースティックやら

何種類ものカードが読み取れるらしいです。

 

そんな訳で、この画像も携帯で撮ってパソコンで編集してアップしました。

いやいや、デジカメ要らずで便利便利。

 

ブログ用の新たな新兵器の登場です。

 

 

 

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2008年5月17日(土) 

ロクロ、たたら、型作り。

 

 

写真はたたら作りに使う板です。

この板と板の間に土を置いて粘土を薄くカットし、

お皿や花入れなんかを作っていくわけです。

 

たたらでカットした粘土を型に置いて成型していけば、

完成度の高いものができてしまうので、

陶芸好きにはたまらない技法ですね。

 

ロクロや手びねりってのは意外と難しくて、

そこそこの作品ができるまで結構な練習時間が要ります。

 

一方、たたらや鋳込みなんて技法は、基本的に型さえあれば、

誰でも作品と呼べるものができるんですね。

 

特に石膏型を使った鋳込み泥しょう作りなら、

フタものもピタット合うような、非常に整った作品製作が可能なんです。

 

ロクロで急須を作って、フタをピタット合わせるなんて、

なかなか難しいですが、鋳込みなら簡単。

 

分割された型をゴムバンドで固定し、そこに泥しょうを流し込んで

しばらく置いておくと、型と粘土の接触部分から乾燥し始めます。

適度に乾燥したら泥を型から流し出し、型のゴムバンドをはずすと、あら不思議。

あっと驚くような複雑な形が現れるという

魔法のような技法です。

 

この型を1メートルクラスの巨大なもので作れば、

直径1メートルの真丸の陶ランプなんかも作れちゃうんです。

 

また風船に水を入れて逆さまにしてから回りを石膏で固めると、

おしゃれなインパクトのある花瓶型のできあがりです。

この際だから大きさも1メートルのビッグサイズでいきましょう。

焼いたら割れるかもしれませんが、

そんなの怖がってたら作品なんぞできません。

その完成した型に、真っ白の磁器泥しょうを入れれば、

あっと驚くような形の花瓶ができあがり。

 

 

こうやって考えると、陶芸の技法ってロクロに限らずいろいろあって

奥が深いんですね。

 

あなたなら、どれでいきます?

 

 

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2008年5月8日(木) 

さしがねの威力。

 

 「さしがね」と言う道具をご存知でしょうか。

そう、大工さんが使う直角に曲がった定規のことです。

 

最近、さしがねを手に入れたので、ちょいと使い方のお勉強をしてみました。

上の写真はさしがねをコンパス代わりに円を書いている様子です。

円の直径の部分にさしがねの両端を当てます。

この場合は白い押しピンが刺さってる所です。

で、さしがねの直角の所にペンを置いてゆっくり動かすと、半円が書けるって訳です。

 

すごいですね。

まさかこんな直角定規みたいなもので円が書けるとは

思ってもみませんでした。

 

確か数学の授業で、円の直径の円周角は90度であるなんて定理がありましたが、

それを応用すれば、こんな具合にさしがねで円が書けるんです。

 

おまけの写真2枚目。

画用紙の上から引かれた直線と画用紙の上辺の間に

45度の線を引いている様子です。

 

さしがねの両サイド10センチの部分を画用紙の上辺にあてて、

いわゆる直角2等辺3角形を作ってるわけです。

すると底辺は45度ですから、すんなりと線が引けるって寸法です。

 

仕組みがわかれば簡単ですが、最初に考えた人はすごい。

 

なんでもこのさしがね1本あれば、家が建つんだとか。

まあ大げさな話ですが、柱なんかの墨線がほとんど書けるってことなんでしょう。

 

 

やきものの場合はこの正確さを出すのが非常に不得意ですね。

特に型ものじゃない手作り陶器の場合は余計です。

 

人間の力でどれだけ正確に成型しても、

「焼き」の工程で予想以上に収縮したり、しなかったり。

 

でもこの人力の及ばない美しさに魅せられたんです。

焼いてどうなるか。

とにかく焼いてみる。

できる限りの手を加えて、あとは炎にまかせる。

 

頼むぞ、窯太郎!!

 

 

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2008年4月30日(水) 

蹴ロクロって?

 

写真は蹴りロクロと呼ばれるものです。

盤面に接続されている底板を足で蹴って廻していく道具です。

蹴ロクロ(ケロクロ)なんて言い方もあります。

かつて電動ロクロが普及する前、

陶工たちはこの蹴ロクロや手回しロクロで品物を生産していました。

 

電動ロクロだときれい過ぎる出来栄えになってしまうので、

今でも蹴ロクロのみで作品作りをしている作家も多いです。

このロクロは微妙なゆがみや、回転の微調整ができるので、

自分のリズムで作品を作れるんです。

 

実際挽いてみるとわかりますが、

電動ロクロはモーターが強制的に廻っているので、

どちらかと言うとロクロに

「おいっ、早く作れや。こっちで廻してるんだからさ~。」と言われてる感じ。

 

一方、蹴ロクロは

「私はあなたの言いなりです~。自由に動かしてね。」みたいな感じです。

 

同じものを大量に作るのなら、電動ロクロ。

1点ものをじっくりと作りたいのなら、蹴ロクロってとこでしょうか。

 

ただ、この蹴ロクロってのは土ころしが結構しんどいんですよね。

大量の土を上げ下げしてセンターにすえる訳ですから、

結構蹴り込まないといけません。

 

モーター付きの蹴ロクロってのも市販されていて、

土ころしはモーターを使い、

作品を挽く時は蹴って廻すなんて使い方もできるようです。

いろいろ考えますな~。

 

 

でも金属製の盤より、

なんとなく木製のロクロの方が作り甲斐があります。

木の板で囲まれた部屋で、木製のロクロで土を挽く。

コンクリートの壁の中でロクロ廻すより、あきらかに気持ちいいです。

 

最近は気候も暖かいですから、この蹴ロクロを外に持ち出して、

青空ロクロってのもいいですね。

電気要らずで、まさにエコロジーってやつです。