2022/11/29 16:02
2008年1月30日(水)
釉は流れ過ぎ。
写真はぐい呑み型のテストピースです。
釉薬は灰80に対して、鬼板20の割合。
鬼板と言うのは含鉄土石のことで、簡単に言えば鉄分を含んだ粘土のことです。
鉄分が含まれているので、この鬼板を加えることで、
釉薬はいろいろな色合いに変化します。
写真では見づらいですが、灰80、鬼板20で黒と茶色の中間のような発色。
鬼板を増やしていくと黒になる計算です。
と、ここまではあくまでも理論上の話で、これに加えて土に含まれている鉄分量、
窯焚きした時の炉内の雰囲気など、いろいろな要素で色が決まります。
ここら辺がやきものの面白くもあり、難しい所でもあるんですね。
ちなみに上の釉薬は流れ方もすごいので、商品として使うのは難しいでしょう。
写真をご覧のように、釉薬が高台部の目土の所まで流れているのが
おわかりかと思います。
1点もので徳利や壷など、器の中が見えない作品なら
何とかなるかも知れませんが、食器系だとまず無理ですね。
個人的に色合いは気に入っているので、花を咲かせたいのですが。
これだけ釉が流れてしまうと、窯内の置き場所や窯詰めの手間を考えると・・・。
扱いやすいというのも、良い釉薬の条件です。
どんなにきれいな色でも、10個焼いて1個しか成功しない釉は
淘汰されてしまうでしょう。
芸術品を焼くか、ふだん使いの器を作るかによっても違ってきますが・・・。
扱いやすくて、あっと驚くような渋い風合いの釉。
何とかして作りたいものです。
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2008年1月24日(木)
テストピース現る!?
テストピースってご存知ですか?
やきものの実物を作る前に釉薬の発色、
土の色合いなどをチェックする陶片の事です。
作家によってテストピースの形態はいろいろです。
ぐい呑み型を作る人もいれば、お皿の型を作って
いろいろな釉薬をのせていく人もいます。
私の場合もその時の気分で、ぐい呑み型にしたり、
写真のようにホントの陶片にしたり。
ぐい呑み型は1つ1つが独立している上、釉薬の流れ具合もチェックできるので、
単体で見たときに作品化のイメージがとりやすいです。
一方、お皿型にするといろいろなパーセンテージの釉薬をすぐに比較できるので、
パッと見て比べやすいという利点があります。
ただ、お皿が平面だと釉薬の流れチェックができないので、
織部や灰釉のようにある程度釉薬を流す作品には不向きなような気がします。
ちなみに写真は鉄釉のテストピースで、鉄分が7%と10%のものです。
左が7パーでいわゆる黒天目の釉薬、
右が10パーで鉄赤釉のような色合いですね。
この時の焼成データもしっかりと記述しておけば、
同じ色合いを再び再現できるって訳です。
1点のみの名作を作るのもプロとしての醍醐味ですが、
同じ作品を何度も作れるって事が
陶職人としての一番の資質なんじゃないでしょうか。
そのために日々のデータをきちんと管理する。
同じ土、同じ配合の釉薬を作る。
こういった地道な作業の繰り返しで作品は作られていくんですね。
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2008年1月15日(火)
これで照らします。
ただ今、本焼き中なんですが、窯出し時に大活躍するのがこの懐中電灯なんです。
本焼きで温度が1250度にもなった熱々の窯がゆっくり冷めていくんですが、
だいたい200度位で温度の低下が鈍ってきます。、
そこで、窯のフタを少し開けて中の温度を逃がしてやるんですが、
ただフタを開けるなんて事はしません。
暗闇の中をこの懐中電灯で照らして、作品の焼け具合をチェックするんです。
1センチの隙間から照らして見る訳ですから、
作品の全体像は見れないのですが、釉薬の発色はわかります。
成功か失敗か。
ワクワクする瞬間が待ってるんです。
そんな楽しみな時間を手伝ってくれるのが、この懐中電灯って訳です。
そういえば以前にテレビでやっていたのですが、
大地震の被災者の方に、一番欲しかったものは何ですかって聞いてたんです。
意外に多かった答えは手回式のラジオ付き懐中電灯。
普通は水とか食料、毛布とか考えつきそうなんですが、
大地震の際はこういった生活必需品は真っ先に配布されるらしいのです。
そうなると他に必要なものは、情報を取るラジオ系。
しかも電池が切れないように、手回式で懐中電灯が付いてる物。
なるほど、言われてみれば納得です。
ご覧の皆さんも一家に一台どうですか。
ラジオ付き懐中電灯。
ちなみに、ウチのはラジオも付いていますが、
手回式ではないので電池が切れたらアウトです。
どうも最後の詰めが甘いんですよね。
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2008年1月8日(火)
新年あけましておめでとうございます。
新年あけましておめでとうございます。
本年も陶器屋をよろしくお願いします。
さてさて。
新年明けての作品作りは、まず朝鮮唐津の片口から始めました。
写真が乾燥中の片口です。
口の部分に特徴がありますね。
片口って言うのはもともとお酒や醤油なんかを注いだりする器だったんですけど、
今は中鉢としておしんこを盛っても良し、
煮物を盛っても良しの万能な器になってるんです。
横から見ると何となく鳥っぽく見えていいでしょ。
この口の部分があるのと無いのでは全然雰囲気が違ってきます。
作り手からすると2手間位加わるので、大変なんですが、
完成した後にまじまじ見ると、かわいいのなんのって。
今回の片口もろくろを使わず、手びねり風に仕上げるため、
たたら成型で仕上げました。
縁の部分もわざと切らずにごつごつ感を残す。
決してきれい過ぎに仕上げない。
手作りの跡をどこかに残す。
このイメージが量産ものには無い、手作りの醍醐味です。
あとは釉薬でワラ灰釉をいかにきれいに出すかで決まります。
黒と白が織り成すハーモニー。
焼き上がりが楽しみです。