2022/11/29 17:24
2011年1月3日(月)
素人の「ベランダ地デジ化計画」。
前略 行雲より。
新年も明けていよいよ2011年の始まりである。
元旦から食っちゃ飲んでの毎日で少々運動不足気味のため、近所の公園でウオーキングをしてきた。
真冬だというのに、昼間は比較的暖かい。
正月ってもっと寒かったような気もするが、地球温暖化は日本の冬にも影響しているのだろうか。
さて、今回の写真はこれだ。
地デジ受信に使う「八木アンテナ 剛弓」である。
いよいよ新年も明け、今年の7月でテレビのアナログ放送は終わってしまうと言う。
自宅テレビのアンテナはずっとアナログのままなので、このままでは放送を見ることができなくなってしまう。
かといって業者にアンテナを設置してもらうのも結構なコストがかかるし、自分で
屋根に上ってやるのもちょっと怖い。
なんとかならんかな~とおもむろに外を見ると田んぼがずっと先まで連なっている。
あれ。こんだけ障害物が何にもなけりゃ、電波って屋根の下にも届いてるんじゃない。
なんてことをフッと考える。
幸い2階のベランダには、かつて使っていたCSのパラボラアンテナがある。
見ていないCSアンテナを外してそこに地デジのアンテナを付け、ケーブル線を
そのまま利用すれば地デジが見れるんじゃないかと。
多分、同じようなことを考えてる人が日本のどっかにいると思うので、早速ネットで調べてみる。
いました。いました。マンションのベランダにアンテナを付けて地デジを見ている人が結構いる。
よっしゃ。そうと決まれば早速実験開始である。
まず地デジを見るにはUHFアンテナがいる。
アンテナと言えば「八木」。昔から良く聞くブランドだ。
早速アマゾンで「八木アンテナ」を検索。
定番の魚の骨のようなアンテナが羅列される。
ベランダに取り付けるのだから、小さめで且つ安価なものをと探したところ
出てきたのが上記の写真の「八木アンテナ 剛弓」だ。
まるで弓をひいたかのようなデザイン。ベランダに取り付けるにはうってつけではないか。
よし、これに決定。
アンテナとベランダなどに固定するステー、電波増量のブースターも一緒にGET。
頼んでから中1日で届いた。
早速2階のベランダに出て、CSのパラボラアンテナを外して「剛弓」を
取り付け、ケーブル線をそのまま使用する。
近所の屋根上のアンテナを見て、同じ方角に向けてセット完了。
やはり近所のアンテナより、ベランダに付けた分だけ3~4メートルは低い。
果たしてこの高さで地デジ電波をとらえることができるか。
期待に胸を躍らせながら、テレビの電源を入れる。
スイッチをアナログからデジタルへ。
「自動チャンネルスキャンを開始しますか。」の画面。
「OK」にカーソルを合わせ、「決定」ボタンを押す。
「ただ今、スキャン中です。」の文字が出て、10%、20%と
数字が上がっていく。
98%。
100%。
「放送波を受信できません。・・・アンテナの接続に問題があるようです。」との表示。
やはり無理だったかと。
アンテナの向きや高さを変えて何度も試してみたが、同じ表示だ。
電波に関する知識が全く無いので、何をどうすればいいのか検討がつかない。
しいて言えばCSアンテナに使用していた同軸ケーブルを再利用したので、これが原因か。
あるいは、2階ベランダでは低すぎるのかの2点しかない。
早速、ネットで同軸ケーブルの情報をむさぼり読んで見る。
同軸ケーブルは太さによって3C、4C、5Cと分かれており、
細い3Cでは地デジは映らない場合もあるが、4C、5Cなら問題無しとのこと。
CSアンテナのケーブルには数字が書いていないので「何C」なのかわからないが、
CSやBSに使われているケーブルなら全く問題ないらしい。
てことはケーブルには非はない。
やはり2階ベランダでは電波の受信は無理なんだろうとの結論に達し、
悔しいがアンテナを撤収してしまった。
このアンテナを業者にお願いするしかないのかな~なんて考えながら、
本当にこれでいいのだろうかとの疑問が頭をよぎる。
お茶なぞを飲んで気分転換を図り、もう一度ミスが無かったかをじっくり考え直してみることにした。
アンテナの方角、ケーブル線、テレビの操作方法。
どれも間違いはない。
ただ一つ気になる所がある。
隣近所のアンテナの取り付け角度だ。
水平ではなく、ポールに対して直角に取り付けてある。
最初は風対策か何かの関係で、アンテナを直角に寝かせてあるだけと
思ったが、なんとなく引っかかる。
これは電波に関する知識をある程度付けないと対処できんぞと、早速ネットでお勉強開始だ。
するとどうでしょう。電波には「水平偏波」と「垂直偏波」とがあるらしい。
これは電波が混同しないようにとのことらしい。
まず自分の住まいの地域の電波がどの放送搭から送られてくるのかを調べて、
その放送搭が水平偏波か垂直偏波かをチェックするらしいのだ。
早速「社団法人デジタル放送推進協会」のサイトへ飛ぶ。
http://vip.mapion.co.jp/custom/DPA_B/
このサイトでは郵便番号を入力すると住まいの地域に電波を送る放送搭がわかる。
熊谷の郵便番号を入力して表示してみる。
すると熊谷・行田地区はオレンジの色で包まれる。オレンジ色は東京タワーの電波だ。
東京タワーをネットで検索すると「水平偏波」とのこと。
てことはアンテナを普通に水平に取り付ければよい。
今までやってきた取り付け方法になんら問題はない。
でも、隣近所のアンテナはなんで水平に取り付けてないんじゃい。
コリャなんかあるなと。
このサイトの見方が問題なんじゃないかと。
パッと見ると住まいの熊谷・行田地区には東京タワーの電波を示す
オレンジ色の表示がされている。(ちなみに赤色は浦和局の電波らしい。)
周りには放送搭のアイコンがいくつもある。
ん~ん。見方がわからん。
もう一度外に出て、隣近所のアンテナを再チェック。
ありゃりゃ。
東京タワーは熊谷から見て南の方角だけど、アンテナは西を向いている。
これは何故なんだ。
パソコンに戻り、おもむろにサイト上の地図の熊谷から西の方角を見てみる。
放送搭のアイコンがいくつか見える。
アイコンを何気なくクリックする。
するとその放送搭の電波が色表示されるではないか。
それではと、熊谷から西の「児玉中継局」ってやつをクリック。
なんと青色の電波表示に変わるではないか。
しかも深谷・熊谷・行田西方面をしっかりと包み込んでいる。
もしや熊谷近辺の電波は「児玉中継局」から飛んでいるのか。
早速「児玉中継局」をネットで検索。
するとどうでしょう。「児玉中継局 垂直偏波」の文字発見。
この瞬間、全ての断片的な情報が頭の中でつながった。
熊谷地区は児玉中継局から地デジの電波を受けている。
この電波は垂直偏波である。
そのため、アンテナはポールに対して直角に取り付けなければならない。
以上3点だ。
多分、電気工事屋さんから見れば何てことない情報かも知れない。
しかし、電波の「で」の字も知らない素人が、
この事実を知った瞬間の喜びって言ったら。
しばしの感無量・・・。
その後、アンテナをポールに対して垂直に設置。
再度テレビの「自動スキャン」を入れる。
・・・98%、100%。
画面一杯に地上デジタル放送の絵が映る。
受信完了!!
思わず自分の左手に自分の右手で一人ハイタッチである。
タッチを2度、3度。
最後はゴルフの超ロングパットを入れたかのような、
タイガーウッズばりのガッツポーズでフィニッシュだ。
地デジよ、感動をありがとう!!
さて、ここからは「ベランダ地デジ化計画」を自力でやってみたい方たちのために、
概要をまとめてみた。
1、まず「社団法人デジタル放送推進協会」のサイトへ飛び、自宅住所の郵便番号を入力する。
http://vip.mapion.co.jp/custom/DPA_B/
2、地図上に十字の矢印が出るのでそこが自宅だ。
近辺の放送塔のアイコンをクリックして、
自宅近辺にどの放送塔から電波がきているのかを調べる。
3、放送塔がわかったら、地図からその方位(東西南北)をおおよそ割り出す。
4、自宅アンテナ設置箇所に立って、その方位の方角に大きな建造物などが無いかチェック。
無ければ、「ベランダ地デジ化計画」を遂行する価値がある。
また、少々の建物があっても受信できるかも知れないので、
時間のある人は趣味だと割り切ってチャレンジするのも良い。
5、チャレンジが決まったら、必要なアイテムをそろえる。
アンテナ
お好みのデザイン、大きさを選ぼう。
アンテナは「八木」や「マスプロ」などのブランドがあるが、
筆者は「八木アンテナ 剛弓」を選んだ。
アマゾンのサイトで「八木アンテナ」と入力すれば、
いろんな種類のアンテナが出るので好きなものを探してみよう。
マスト(ポール)
アンテナを取り付ける棒のようなもの。ベランダに取り付けるのなら、
取り付けステーが付いているものを選ぼう。
ちなみに筆者は「DXアンテナ ベランダ取付金具 MHV-116 」を選択した。
ブースター
これはアンテナで受信した電波を増幅する装置だ。
今回の実験では、1台のみのテレビ接続ならブースター無しでも問題なく映った。
2台以上ならブースターが無いとテレビの方で「受信できず」と表示される。参考にしてほしい。
ちなみに筆者は「YAGI 地デジアンテナパワーアップブースタ DPW02 」を選んだ。
同軸ケーブル
アンテナとテレビをつなぐケーブル線だ。これが無いと話にならない。
本文にも書いたがケーブルは3C、4C、5Cと数字が上がるにつれて太くなる。
古い3Cだと映らない場合もあるらしいので注意が必要だ。
アンテナからテレビまでのケーブルの長さが10~20メートル位までなら4C。
20メートル以上なら5Cを選ぼう。(もちろん地デジ対応の表記があるもの。
今現在市販の新品ケーブルならまず対応している。中古品なら対応のチェックが必要だ。)
すきま配線ケーブル
ベランダにアンテナを取り付けたのはいいが、どうやってケーブルを
室内に引きこもうかと思っている人は多いだろう。
ドリルで壁に穴をあけるのにも抵抗があるし、
なんといってもそこまでやるのは面倒だって人はたくさんいる。
筆者もその一人だ。
そんな我々にお勧めの品がこれだ。
このすきま配線ケーブルを使えば、窓枠の端に沿ってケーブルを室内に引きこめる。
テレビの映り具合も全く問題ない優れものなのだ。
F型接栓
これはケーブル線とアンテナやテレビをつなぐのに必要な小物だ。
「プラグ」と言う名でプラスチック製のものも売っているが、
金属製でナットが付いていて、テレビなんかと接続するときに
ネジにがっちり噛ますことができるものを「F型接栓」と呼ぶ。
アマゾンでも近所のホームセンターでも手に入る。
ちなみに筆者は「YAGI 4CF型接栓2個入り FP-4-2B 」を選択した。
注意が必要なのは、同軸ケーブルに4Cを選んだのなら4C用のF型接栓でないとうまくつけられない。
筆者は4Cのケーブルに5C用のF型接栓を入れようとして、指を痛めてしまった。
サイズが違うとズボンが履けないのと同じで、同じサイズのものを選ぼう。
但し違うサイズでも力技で使えないことも無い。
(筆者は6箇所の接続で2箇所をサイズ違いのF型接栓で代用した。)
以上が1台のテレビを見るのに必要なアイテムだ。
筆者はCSパラボラアンテナの同軸ケーブルを代用したので、
自宅に代用品がある人はそれらを流用してみよう。
但し、映らない時に代用品が原因の場合もあるので、
確実狙いなら全てを新品でそろえた方が無難だ。
ここら辺は各自の考え方次第だろう。
また、2台以上のテレビをつなぐ時は上記以外に
「分配器」をそろえる。
2台のテレビなら2分配器。
3台なら3分配器。(もちろん地デジ対応。)
分配の台数が多いほど受信した電波の力は弱まるので、映らなかったり、
プロックノイズと呼ばれるノイズが発生する場合がある。
試験的にテレビ1台を分配器無しで接続してみて、
映ったら分配器でテレビの台数分わけるのが得策だ。
これもアマゾンやホームセンターで手に入る。
もし分配してダメなら最悪テレビの台数分だけアンテナを立てれば良い。
何と言ってもベランダに設置するのだから、手間はかからないし、臨機応変に変更できる。
今回の経験上、3台位までのテレビ台数なら上記のアイテムと
3分配器1個あればなんとかなると予測している。
(但し、受信した電波の強さは放送塔からの距離も影響するので、
ケースバイケースと考えた方が良い。)
6、アイテムをそろえたらベランダに設置する。
上記の「社団法人デジタル放送推進協会」のサイトで調べた
受信できる放送塔をネットで検索し、「水平偏波」か「垂直偏波」かをチェック。
「水平偏波」ならそのまま水平の状態でマストに固定。
「垂直偏波」ならマストに対して垂直に取り付ける。
7、放送塔の方位にアンテナを向ける。
この時に近隣の屋根の上に立っている魚の骨のようなUHFアンテナをチェック。
おおよそ同じ方角に向いているか確認しよう。
8、テレビをデジタルに変えて「自動チャンネルスキャン」を開始する。
9、映るかどうか期待に胸を膨らませて待ってみる。
映ったらその場にいる人とハイタッチを交わし、喜びを共有する。
一人なら一人ハイタッチや、そっとガッツポーズも良。
さあ、あなたも「ベランダ地デジ化計画」。
やってみませんか。
ぽろろん。
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2010年11月6日(土)
エネルギーの謎。
前略 行雲より。
11月に入り、昼間の気温はまだ比較的暖かいが、朝晩の冷え込みはそこそこ厳しくなってきた。
本日の朝は、久しぶりのストーブ点火である。
ストーブの上の熱気を見て、この熱を無駄にはできぬとヤカンに水を入れて置いてみる。
しばらくするとお湯が沸騰する。
何気ない日常の動作だが、晩秋から初冬の瞬間を感じる一コマであった。
さて、今回の写真はこれだ。
文庫本の「相対性理論を楽しむ本」。
相対性理論と言うとアインシュタインが考えた何やら訳のわからん理論だという印象を受ける。
当方もご多分に漏れず相対性理論と言う名前位しか知らなかった。
文庫本なのであまりかしこまらずに、数式もほとんど使わず、
面白おかしくこの理屈を説明してくれる。
そんな軽い感じにひかれて手に取って読んでみた。
読後感・・・。
アインシュタインってのはすごい人なんだなというのが実感だ。
こんな事を日々考えて理論としてまとめてしまうのだから、
一つ一つ積み上げていく欧米の教育方法もよっぽどすごいのだろう。
では、この相対性理論を飲み屋の会話レベルで軽く読者にお伝えしてみよう。
まず、相対性理論とは「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」の二つがあるらしい。
簡単なのは「特殊~」の方。
一般相対性理論は、特殊相対性理論を書き上げた後、
さらに十年の時間を掛けてまとめ上げたものらしい。
ちなみにこの文庫本は、主に「特殊~」の方を中心に解説してくれている。
それで、一言で言うと・・・。
ん~ん、一言では無理だ。
じゃ、何点かに分けて見よう。
まず、大事なのが光に目を向けたこと。
それと時間と空間。
普段我々は時間と空間を全く別のものとして生活している。
ところが、この時間と空間はお互いに密接にからみ合って、
「時空」という概念で表されるものだと。
よって相対性理論は、「光と時空についての理論!?」。
えっ、全くわからないって。
詳しく知りたい方はその手の本を読んでほしい。
多分・・・。
余計わからなくなる可能性あり。
じゃあ、我々の生活に密接するものはないのかと探してみたところ、見つけたのがこれ。
「E=mc2」
(表記上、上述の式。E=m×cの2乗の意味)
以前にコーヒーか何かのCMでアインシュタインのそっくりさんが
黒板に書いているのを見た人もいるだろう。
じゃ、この公式の意味は・・・。
Eはエネルギー。
mは物質の質量。
Cは光速。
つまり、「エネルギーは物質の質量に光速の2乗を掛けたものに等しい」となる。
すごいことだ。
全ての物質というのは巨大なエネルギーを持ってるらしい。
今、目の前にあるパソコンやマウス、携帯電話なども、
元を正せば何がしかの物質でできているので、
これらの中にも膨大なエネルギーが秘められているとのこと。
もちろん燃やせば「熱」というエネルギーが出るわけだけども、
そんなもの比較にならない位の多大なエネルギーを持ってるらしいのだ。
ちなみに財布の中にある1円玉6枚で、
東京ドーム1杯分の水を0℃から100℃にできるらしい。
ドーム1杯分の水を沸騰させるなんて、薪ならどのくらい要るのか、
灯油なら何リットル必要なんじゃいって感じだが、それがたったの1円玉6枚でいいという。
すごい理論である。
ただ、これはあくまでも理論上のお話で、
実際に1円玉からエネルギーを取り出すことはできない。
ところが人類はウランからエネルギーを取り出す技術を持ってしまった。
この技術が第2次世界大戦中にマンハッタン計画で使われ、
核兵器が作られて、日本に投下となる結末をむかえる。
アインシュタインはそんな爆弾なんぞに応用されるとは考えもしなかったかも知れないが、
ヒトはこの世の最終兵器を作ってしまった。
原子力発電などの平和利用だけに使えば、かなり有効な式なんですがね。
わずかな質量の物質で電気を作りだせるのだから。
ちなみに、数百年後の人類は、陶芸用の原子力窯なんてのも作ってしまうのだろうか。
コスト的に絶対無理なような気もするが、人類の進歩はすんごいからな~。
ぽろろん。
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2010年9月29日(水)
いい品をつくるには。
前略 行雲より。
本日の熊谷は秋雨の真っ只中。
昨日は雨からくる寒さのため久々に冬物を羽織ってしまった。
つい先日まで真夏日を超える気温だったのに、今日も肌寒い。
寒暖の差に体調をくずさないように注意したい。
さて、今回のテーマは「いい品を作るには」だ。
ここで言う「いい品」とは、芸術などの感性に引っかかる作品ではなく、
いわゆる工芸品としての高級感のある食器や花器、置ものなどのことと理解して頂きたい。
まずいい品を作る一番のものは、自分の眼力を鍛えることだ。
目を肥やし目利きになること。
やきものを見て、いいものか悪いものか見分けられる目を持つ。
本や雑誌、美術館などで名品と言われるものを見て、
自分の目利き力をどんどん鍛えていく。
ここが弱いと頭の中にいい品のイメージがわかないので、
表現する前段階でストップしてしまう。
次に腕を磨く。
いいやきものが見極められるようになったら、
それに近いものを作れるように技術を養う。
当然だろう。いくらいいものがわかっても、それを土の固まりに表現できなければ
頭の中のイメージで終ってしまう。
目の前の作品に形作ることができて初めて他人に伝わるのだ。
それには度々書いているが、陶工の技術を学ぶのが一番。
どう土を捏ねて、ロクロを廻し、削って、釉薬を掛けて焼いていくのか。
陶工の技術全般を学んでいけばいい。
さて、次に大事なのは材料に目を向けることだ。
いいやきものを作るにはいい材料が不可欠。
並品の土と釉薬で名品を作れと言われたら、
どんな陶芸家もしばし頭を捻るに違いない。
大量生産品のように何となく使いやすい品をというのであれば、
並品材料でもなんとかなる。
ところが手に持った瞬間、「ん~ん。いいねぇ。」と言いたくなる品を作るとなったら、
ぜひ材料を吟味したい。
仮に私が市販の並材でいい品を作れと言われたら・・・。
まず造形か、絵付けで魅せるかのどちらかを選択する。
造形が奇抜で卓越していれば、シンプルな焼き締めでも充分に輝く。
また、絵心のある人は絵を上手にやきものに描ければ、かなり立派な作品になる。
大皿に鉄絵や呉須というシンプルな材料でも、絵が魅了できるものであれば人は感動する。
こういった奇抜な造形力や絵が苦手な人は、材料を良く吟味し、
個性的な原料を手に入れる事によって、
シンプルな皿や湯のみ等でもいいものが作れるようになる。
では個性的な材料というのはどこにあるのか。
手っ取り早く、山に入って自分で掘って来ることだ。
もちろん山主の許可を得よう。勝手に黙って掘ってはいけない。
個性的な土や長石、鉄の原料となる鬼板や
土に混ぜる山砂なんかもあったら掘ってみよう。
釉薬に使う灰は木々を燃やして手に入れる。
あるいは近所の焼肉屋さんなどで分けてもらう。
変わった材料があれば、人とは違ったいいものが作れるだろう。
では、山に入る時間も無い人は・・・。
市販のものでいい材料を探す。
市販品でもいい材料はたくさんある。
どれを選んでいいのかわからなければ、陶芸やってる先輩や師匠にでも聞けばいい。
今までの長い経験から、いい材料を仕入れるルートを知っているはずだ。
但し難点がひとつ。いい材料は高いのだ。当然である。
焼いていいものが作れる材は、希少価値があるし手間もかかっている。
自分で掘らないで業者に頼むのだから、ここはグッと奮発してみよう。
ここで一句。
いい品は、目利きと技術、いい材料。
いい材無けりゃ、造形、絵心。
ぽろろん。