2022/11/29 17:30

2011年11月29日(火)

初冬の自然美。

 

前略 行雲より。

 

今月の窯焚きもやっと終了し、ほっと一息。

いつもながらの長丁場をのりきった後は、何ともいえない達成感がある。

毎回思うが、この窯焚きと窯出しの瞬間のために、

我が人生を歩いていると言っても過言ではないだろう。

寒さ、睡魔と闘いながらも、陶屋にとっての「締めの仕事」。

それが窯焚きだ。

これだけは絶対に他人には任せられない。

陶を生業とするものの宿命である。

 

~~~

 

さて、本日は窯焚き終了後の休息日。

あいにくの曇りだが、たまった洗濯を干そうと外に出た。

ところが、どうにも南天の木が日差しをさえぎっている。

このうっそうと茂る大群をまとめて伐採してしまえば、

かなり日が差し込むので洗濯を乾かすのに最適。

 

早速、1本づつ切り取ることにした。

のこぎりと剪定バサミを持って切っていく。

久々の野良仕事がなんとも心地いい。

震災以後、家庭菜園も中断しているので、

身体が自然と戯れたがっているのだろう。

 

木々に触れ、自然と遊び、

何だかわからないがエネルギーが身体に充電されていくのを感じた。

 

気がつけば数十本以上の南天を切っている。

1本1本枝葉を取り、ただの棒きれの状態にする。

この形にしておけば保存も楽だし、何か棒状のものが必要なときに重宝する。

ドアのかんぬき、素振りの道具etc‥。

アイデアひとつで何にでも応用できる。

自然から享受されるもので要らないものはひとつとない。

 

ところが、最後の1本がどうしても切れない。

南天の実がついているのである。

この実と枝葉のバランスが絶妙で、切るにはもったいないのだ。

しかし、場所的にその1本を切らないことには、洗濯場の天日干しに影響する。

 

ん~ん、どうしたものか。

かたわらに無造作に転がっている焼き締めのとっくりを発見。

 

実付きの南天はそちらに動いてもらうことにした。

で、この1枚をパシャリ。

自然の芸術作品をしばし堪能させてもらおう。

 

ぽろろん。

 

 

 

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2011年10月26日(水)

無線LANてどうなの。

 

前略 行雲より

 

秋の気配もすっかり色濃くなってきた昨今、今日の熊谷は風の強い一日だった。

まだまだ日中は暖かいが、朝晩はロクロで使う水も湯水になってくる。

寒くなると食欲がわくのはなぜだろう。

冬に備えて身体が脂肪を溜め込もうとしているのだろうか。

そんなことを考えながら、お菓子をついポリポリと食べてしまう自分がいた。

 

 

さて今回の写真はこれだ。

 

無線LANのアクセスポイントである。

 

以前から無線LANを導入したかったのだが、数年前に一度試したことがある。

その時はまだ異なったメーカー間での接続はやってみなけりゃわからないって世界だった。

当然、接続成功するまでもなく、せっかく買ってきた機器を返品したのを覚えている。

 

そんな折り、最近よく聞くwi-fiってのを調べたところ、

異なったメーカー同士でもwi-fiで認証されている機器なら問題なく接続できるとのこと。

早速、我が家のパソコンも無線LANできるのか試したくなった。

 

無線LANの機器もいろいろあるが、まずひとつが無線LANルーターと呼ばれるものがある。

ルーターってのは簡単に言えば、通信専用のマシンだと思えばいい。

常時接続だとモデムにパソコンを直結してもネットにつながるが、

ルーターを間にかました方が、セキュリティ上、安全にネット接続できる。

 

このルーターをかましたパソコンをネット側から見た場合、

パソコン本体を全く見ることができないらしい。

ネットからルーターまでは何とかわかっても、

その次のパソコンの存在がわからなくなるとのこと。

てことは自分のパソコンのセキュリティが守られることになるので、

ルーターを入れていない方はぜひ導入をお勧めしたい。

 

さて、我が家のネットへの接続はフレッツADSLなので、

モデム+ルーターとなっている。

てことはルーター付きの無線LANはいらないので、

アクセスポイントのみの機器であればいい。

アクセスポイントってのはその名の通り、ネットにつなげるための中継機器のことだ。

こいつにパソコンが無線でつながれば、イコール、ネットにつながったことになる。

 

さて、早速写真の無線LANを導入してみよう。

箱から出して、LANケーブルをつなげて、自宅のルーターの空き口に差し込んでみる。

電源を入れてしばらくするとランプが点滅。接続可能の合図だ。

 

パソコンを立ち上げると無線を探している。

お互いのWPSボタンを押すと接続完了。

なんともあっけなく接続できてしまった。

 

ちなみにこのWPSてのも他社のAOSSなんかと同じで、

お互いの機器のボタンを押すだけで接続できるって便利な仕組み。

ほんと機械の進歩ってのは早い。

以前試した時はあーじゃない、こーじゃないと半日ががりだったが、

いとも簡単につながってしまった。

いやーすごいものだ。

 

問題は接続スピードだが、

さすがに有線のLANケーブルと比べると若干時間がかかるかも知れない。

これとてさほど気になる程ではないし、

動画もカクカクしないで普通に見ることができる。

パソコン周りのケーブルが減っただけでも、かなりすっきりした。

こいつは使える。

 

ぽろろん。

 

 

 

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2011年9月25日(日)

それでもみんな歩いてる。

 

 

前略 行雲より。

本日の熊谷は快晴の一言に尽きる。

暑くもなく寒くもなく快適な日中だった。

 

久しぶりに写真が撮りたくなって、我が愛機キャノン10Dを出してみる。

案の定バッテリーが上がっていた。

充電器にかけたが満タンが待ちきれずに、残量半分の状態でカメラに装着。

自転車に乗って撮影散歩に出発だ。

 

ふらっと出た田んぼにコスモスが咲いていた。

思わずパチリ。

久しぶりのシャッター音が、耳に心地いいメロディーを運んでくれた。

 

 

さて、今回の写真はこれだ。

「大人の流儀」である。

著者は作家の伊集院静氏。

エッセー本のベストセラーらしい。

 

もともと彼の小説などは読んだことはないのだが、

いつか手にとって読んでみたいと思っていた。

理由は一つ。

彼のかつての奥さんが今は亡き夏目雅子さんだったからだ。

 

 

生前の夏目さんを見かけたことがある。

まだ私の若かりし頃、

日本武道館で、ある女性歌手のコンサートが行われていた。

開演となりあたりが薄暗くなると、

私たち周辺の席にいろんな芸能人の方々がお忍びで入ってきた。

当時の大物俳優やら有名女優やらが、

多数のスタッフに囲まれながらひっそりと席に座った。

 

その中に夏目雅子さんがいた。

左後ろの3,4席ほど離れたところだろうか。

会場のみんなは舞台を見ているが、

私たちの席周辺はざわざわ・ひそひそのオンパレードである。

何人かの人が夏目さんに握手を求めた。

ニコニコしながら心良く応じている様を見て、私も席を立ち上がり握手を求めた。

にっこりと微笑んで握手してくれた感触は今でも忘れない。

 

そんな経緯もあって、

彼女が夫として選んだ人の作品は何としても読まねばと常々思っていた。

彼は小説家だが、今回は小説ではなくエッセー本。

しかも彼が今まで一切書かなかった夏目さんとの思い出の章もありということで、

早速本屋で手にとって読んでみた。

 

各章は春夏秋冬に分かれており、

読んだ当初はさらっと読んで、すぐにブックオフ行きだろうと思っていたのだが、

春を読み、夏を読み終えた頃には常に持ち歩いて読むようになり、

最終章を読み終えた後には、

しっかりと我が家の書棚の一員になってしまった。

 

今でも時折読み返す。

 

内容についてはここでは書けないが、印象に残った言葉を紹介しよう。

本書の帯にもあるので、抜粋してみる。

 

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「いろいろ事情があるんだろうよ・・・」

大人はそういう言い方をする。

なぜか?

人間一人が、この世を生き抜いていこうとすると、

他人には話せぬ事情をかかえるものだ。

他人のかかえる事情は、

当人以外の人には想像がつかぬものがあると私は考えている。

 

人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている。

 

***********(大人の流儀 本書帯より抜粋)

 

 

興味のある人はぜひ読んでほしい。

 

個人的には本書68ページの、

麻雀帰りの著者が宿無し風の男に煙草を渡すくだりも好きだ。

 

映画のワンシーンを彷彿させる。

 

 

ぽろろん。

 

 

 

 

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2011年8月29日(月)

巨匠から感じる。

 

前略 行雲より。

8月ももうじき終りを迎え、今週には初秋の9月になる。

芸術の秋も、もうすぐこちらに向かって駈け抜ける準備をしているだろう。

何かを始めるのはそろそろだよと、季節が語り始めている。

 

さて、今回の写真はこれだ。

「巨匠に教わる 絵画の見かた」という本である。

 

西洋絵画の入門書は書店でもいろいろ出ているが、

あまり細かいことは抜きにして、

各巨匠の名言をちりばめながら紹介していこうという類の本だ。

 

絵画に混じって各巨匠がイラストでコメントを言ってるので、

理論うんぬんよりも絵画を感覚で感じてみたい人にはお勧めだ。

 

この本に出てくる数十名の巨匠の中から、

今回はピカソとポロックという二人の画家を紹介していこう。

  

まずピカソ。

最初に紹介するのはこれだ。

ゲルニカである。

教科書にも載ってるくらい有名な絵だ。

 

戦争をテーマにしたものらしく、

たった1枚の絵からピカソの感じたスペイン内戦とは

どういったものなのかを伺い知ることができる。

 

写真で見ると小さいが、実物はかなり大きなものらしい。

ぜひ一度は本物を見てみたいものだ。 

 

お次はこれ。

「アビニヨンの娘たち」

キュビズムの発端となった作品だ。

ちなみに「キュビズム」とは何なのか。

Wikipediaから抜粋してみる。

 

「20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始され、

多くの追随者を生んだ現代美術の大きな動向である。

それまでの具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、

いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収め、

ルネサンス以来の一点透視図法を否定した。」

 

~とある。

 

ある一つのものをいろんな角度から眺めて、

それらを一つのキャンバスに集合させる。

完成した絵はかなり強烈なインパクトを発する。

ん~ん、大胆なことを創造するものです。

  

そして、最後はおまけ。

牡牛の頭

こちらは絵画ではなく、立体造形の作品だ。

自転車のハンドルとサドルを牛に見立てて鋳造したもので、

素材のブロンズの質感がなんとも味わい深い。

これが普通のハンドルとサドルだったら子供のお遊びなんだろうが、

芸術の域にまで高めてしまうピカソの実力に脱帽だ。

 

 

さて、もうひとりの巨匠ポロック。

彼の作品を1点だけ紹介しよう。

題名は「エコー」。

どうだろう。抽象絵画の決定版。

筆先からしたたり落ちる絵の具を、

ドロッピングだけで表現するという画期的な技法だ。

具象画と違って、見る人の感性によってどんなものにも受け取れる。

これを見て一気に抽象画のファンになってしまった方もいるのではないか。

まさに「お見事。」の一言に尽きる。

 

他にも私の好きなモネやゴーギャン、ミレーなんかの作品もあり、

とても全てを紹介しきれない。

興味のある方は書店で手にとって続きを見て欲しい。
 

 

さて、こういった巨匠たちの作品を陶芸にどう生かすか。

見て、感じて、自分の中でより熟成させる。

 

キャンバスを土に変えて、

内面からほとばしるエネルギーを土にぶつけてみる。

その時、新しい何かが生まれるかも知れない。

はたまた何も生まれないかも知れない。

 

無から有か。有から無か。

やってみなけりゃ、何も始まらない。

 

ぽろろん。